インボイス制度前に知りたい消費税の基礎知識~消費税の非課税とは~後編

前回は、消費税の非課税となるものとして、1 消費税の性格から課税することになじまないもの として、7項目を書きました。今回は、2 社会政策的な配慮に基づくもの として、残りの8項目を書いていきます。

社会政策的な配慮に基づくもの

⑧社会保険医療等

⇒健康保険法や国民健康保険法による医療費や医薬品は非課税となります。ただし、健康診断や人間ドックなど、社会保険以外の自由診療の場合は、課税となります。

⑨社会福祉事業等

⇒介護保険法による居宅サービスや施設サービスの役務対価は非課税となります。また、社会福祉事業や更生保護事業として行われる資産の譲渡等も非課税となります。

⑩助産に係る資産の譲渡等

⑪埋葬料、火葬料を対価とする役務提供

⇒埋葬料と火葬料のみが非課税となります。そのため、葬儀費用や生花代、墓石の費用は課税となります。

⑫身体障害者用物品の譲渡、貸付け

⇒ここでいう身体障害者用物品とは、義肢や車椅子などで身体障害者が使用するための特殊な形状、構造、機能を持つものとして、厚生労働大臣が財務大臣と協議して指定するものをいいます。身体障害者用物品の部分品については、身体障害者用物品に該当しないため、課税となります。また、身体障害者用物品ではないものを身体障害者用物品に改造する行為は、身体障害者用物品の製作の請負として非課税となります。

⑬学校教育法に規定する教育としての役務提供

⇒学校教育法に規定する幼稚園、小学校、中学校、高校、大学などにおける教育が非課税となります。そのため、塾や予備校の受講代は課税となります。役務提供の範囲ですが、授業料、入学金、入学検定料、在学証明書・成績証明書の手数料などが非課税の対象となります。

⑭学校教育法に規定する教科用図書の譲渡

⇒学校教育法に規定するものが非課税となりますので、参考書や問題集などで学校教育を補助するための補助教材については、課税となります。

⑮住宅としての貸付け

⇒賃貸借契約書で居住用として明らかな場合、または契約書に記載がなくても居住用として貸し付けていることが明らかな場合は、その貸付けは非課税となります。貸付期間ですが、1月以上の住宅の貸付けが非課税となり、1月未満のものは課税となります。また、貸付けでも事務所、店舗、保養所、貸別荘、ウィークリーマンション、民泊などの住宅以外の貸付けは課税となります。社宅として、法人が家主から借りた場合やそれを社員へ貸付けしている場合は非課税となります。

インボイス制度後はその取引が課税になるかどうか確認を

以上書いてきたように、消費税の取引は非課税として決められているものがあります。どの取引が消費税がかかる取引なのかどうかを分かっていることが、インボイス制度導入後において重要となります。