9月を過ぎ、残り3か月余りで今年も終わりとなります。
個人の場合は、1月から12月までの所得によって、その年の所得税や翌年に徴収される住民税の金額が決まります。中小企業の役員や個人事業主の方で、小規模企業共済に加入されていない方は、年内までに加入されることをお勧めしています。
中小企業の役員や個人事業主のための国の退職金制度
小規模企業共済(小規模企業共済|小規模企業共済(中小機構) (smrj.go.jp))は、独立行政法人 中小企業基盤整備機構という国の中小企業政策の中核的な実施機関が運営しています。もともと中小企業の役員や個人事業主のために設けられた国の退職金制度です。
掛金が全額所得控除の対象に
毎年の掛金は、全額所得控除として所得税を抑えられる税制優遇があります。また掛金も月1,000円~70,000円まで柔軟に設定でき、年払いも設定することができます。
個人の所得税の仕組みは、各種所得から所得控除というものを差し引いて、課税所得金額を算出します。その課税所得金額に税率をかけたものが所得税となります。そのため、所得控除が多ければ所得税を抑えられるというメリットがあります。所得控除には、小規模企業共済の他にふるさと納税や生命・地震保険料控除、医療費控除や配偶者控除、扶養控除などがあります。
小規模企業共済のホームページによると、課税所得金額が600万円で毎月の掛金が3万円の場合、所得税と住民税を合わせて年間109,500円の節税が出来ます。また、加入シミュレーション(加入シミュレーション|小規模企業共済(中小機構) (smrj.go.jp))のページもあり、そこに自身の年齢や毎月の掛金、解約時期を記入すると、将来受け取れる解約金と年間の節税額が分かるサイトがありますので、ご利用してみてください。
事業資金の借り入れも出来る
掛金をもとに事業資金の借り入れもすることができます。掛金の範囲内(掛金納付月数により掛金の7~9割)で、10万円以上2,000万円以内(5万円単位)で借入れをすることができます。現在の借入利率は年1.5%となっております。
解約時も条件を満たせば退職所得として税制優遇の対象に
廃業時や65歳以上で180か月(15年)以上掛金を払い込んだ方が解約し、一括受け取りを選択した場合は、解約した収入金額は退職所得となります。退職所得は、退職金から退職所得控除を差し引いてその1/2について課税されます。退職所得控除は、
・勤続20年未満→40万×勤続年数
・勤続20年超→800万+(勤続年数-20年)×70万
と大きい金額となります。例えば30年勤めると1,500万円を退職所得控除として退職金から差し引き、さらにその差し引いた金額の1/2の金額について課税されるので、所得税が抑えられるというメリットがあります。ただし、中小企業の役員で、会社より退職金を別に支給する場合は退職所得控除の計算が変わる場合がございますので、注意が必要です。
加入されていない場合は検討を
将来の退職資金を貯めつつ、毎年節税もできるというのは大きなメリットかと思います。
小規模企業共済に加入されていない中小企業の役員や個人事業主の方は、一度ご検討してみてはいかがでしょうか。