その支出、交際費で処理しなくてもいいです

会社で経費を使用した時に、この領収書は交際費になるかどうか迷うケースもあるのではないでしょうか。資本金が1億円以下の中小企業の場合は、年800万円まで交際費として費用計上が認められますが、交際費として処理をする必要のない支出もあります。よく出てくるもので迷いやすいものを書いていきます。

従業員への慰安のため社員旅行

従業員への慰安のための社員旅行は、福利厚生費として処理をします。ただし、豪華な旅行などの過度な支出となる場合は、従業員の経済的利益として給与課税されてしまう場合があるので注意が必要です。一般的に給与課税しなくてもいい例として、

  • 4泊5日以内の旅行であること
  • 従業員の50パーセント以上が参加すること

が挙げられますが、旅行の内容を総合的に勘案して社会通念上で判断していくことになります。

また他にも、交際費ではなく福利厚生費として処理できる例として、次のようなものがあります。

  • 創立記念日、国民祝日、新社屋落成式等に際し従業員等におおむね一律に社内において供与される通常の飲食代
  • 香典、お祝い金など従業員等やその親族等の慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用(ただし、得意先、仕入先等社外の者の慶弔、禍福に際し支出する費用は交際費となります。)

カレンダー、手帳、手ぬぐいなどを贈与するために通常要する費用

不特定多数の者に対する広告宣伝のための費用は、広告宣伝費として処理をします。上記のカレンダー、手帳、手ぬぐいなどを取引先に配るもののほか、次の支出も広告宣伝費として処理をします。

  • 製造業者や卸売業者が、抽選により、一般消費者に対し金品を交付するための費用または一般消費者を旅行、観劇などに招待するための費用
  • 小売業者が商品を購入した一般消費者に対し景品を交付するための費用
  • 一般の工場見学者などに製品の試飲、試食をさせるための費用
  • 得意先などに対して見本品や試用品を提供するために通常要する費用
  • 製造業者や卸売業者が、一般消費者に対して自己の製品や取扱商品に関してのモニターやアンケートを依頼した場合に、その謝礼として金品を交付するための費用

会議に関連して茶菓、弁当などの飲食物を支出した場合の通常要する費用

会議で使用する会場の使用料や資料代のほか、会議の際のお弁当代などのための支出は、会議費として処理をします。あくまでも会議が前提の上での支出となりますので、会議にふさわしい場所であるかどうかや会議の内容などを記載した議事録など実態が分かるものを保存しておくなど、交際費として区別をできるようにしておきましょう。

売上値引き、割戻しになる場合

売上高や売掛金の回収高に比例して、又は売上高の一定額ごとに金銭で支出する売上割戻しの費用は交際費ではなく売上割戻しとして処理をします。また、得意先に対して、売上割戻し等と同様の基準によって物品(事業用資産又は単価が3,000円以下の少額物品)の提供をした場合にも、交際費にしないものとすることができます。

おわりに

交際費は税務調査などでも指摘されやすい科目となりますので、支出の実態をしっかりと説明できるようにし、適切な処理をするようにしましょう。

出典:国税庁ホームページ(第1款 交際費等の範囲|国税庁 (nta.go.jp))