【インボイス】2割特例の計算

個人事業者で10月よりインボイス登録をして消費税の課税事業者になった方は、今年の確定申告で消費税も計算していく必要があります。今回は2割特例を使った場合の計算方法について書いていきます。

計算期間は?

2割特例の概要や対象者については、過去の記事(【インボイス】2割特例とは – 中村大祐税理士事務所 公式HP (tax-daisuke-nakamura.com))をご参照ください。今まで免税事業者で、新しくインボイス登録をした個人事業主の場合の計算期間は、令和5年10月~12月までの3か月分が対象となります。1月からの1年分ではないのでご注意ください。

計算方法は?

具体的には以下の図表のステップで納税額を計算していくことになります。

                   出典:国税庁ホームページ(06-2.pdf (nta.go.jp))

step1 課税売上高の計算

まず初めに令和5年10月から12月までの課税売上高を集計します。

ここでいう課税売上高とは、通常の事業上の売上だけでなく、車両などの固定資産の売却などやテナント家賃の収入、リース収入、自動販売機手数料収入などの付随収入も含まれますので、集計を漏れないように注意しましょう。

税込金額で集計できたら、その金額に100/110をして税抜金額を算出します。

step2 課税標準額の計算

step1で税抜金額を算出したら、その金額について1,000円未満を切り捨てします。

この1,000円未満を切捨てした金額のことを「課税標準額」といい、消費税率を乗じる前の金額のことを指します。この課税標準額は申告書に転記をしていくことになります。

step3 消費税額の計算

step2で算出された課税標準額に7.8%を乗じて、消費税額を算出します。

消費税10%の内訳は国税7.8%、地方税2.2%となっており、まず初めに国税を計算して、最終段階で地方税を計算していきます。

step4 売上返還の計算

値引き、返品、割り戻し、割引などの売上返還があった場合は、その税込金額に7.8/110を乗じて、売上返還の消費税額を算出します。

step5 仕入税額控除の対象のもととなる金額の計算

step3からstep4を差し引いた金額が、仕入れ税額控除のもととなる金額となります。

step6 仕入税額控除の計算

step5に80%を乗じた金額が仕入税額控除の金額となります。

step7 納税額の計算

納税額は、step3で計算した消費税額からstep4の売上返還とstep6の仕入税額控除を差し引いた金額に100円未満を切捨てした金額が、国税の納税額となります。

地方税は、国税で計算された納税額に22/78を乗じた金額に100円未満を切捨てした金額が地方税の納税額となります。国税と地方税を合計した金額が最終的な納税する金額となります。

step1からstep7までが計算出来たら、消費税の申告書に転記をしていきましょう。

おわりに

残り1か月で12月も終わり、確定申告の時期となります。初めて消費税の申告をされる方は、昨年までの集計と消費税の集計の準備と納税額の予測もしていくようにしましょう。