10月から始まるインボイス制度。今まで消費税の申告と納税の義務がなかった免税事業者が、新しくインボイス事業者となる場合は、納税額を売上の際に預かった消費税額の2割とできる通称「2割特例」が3年間に限って認められます。ただし、この2割特例が使えない場合があるので注意が必要です。
基準期間の課税売上高が1,000万円超の場合は、2割特例の対象外
消費税の納税義務の判定は、原則として基準期間=2期前(個人事業の場合は、2年前)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定します。そして、基準期間が1,000万円を超えた事業年度について、この2割特例は使うことができません。
例えば、個人事業主で令和3年の課税売上高が1,000万円以下のため免税事業者だった場合、インボイス事業者となることで、令和5年の消費税の申告と納税については2割特例が適用できます。ただし、令和4年の課税売上高が1,000円を超えていた場合は、令和6年の消費税申告と納税については、2割特例の適用をすることができません。従来通りの消費税の計算方法である原則課税か簡易課税の選択適用となり、2割特例と比べて納税額が増える可能性がありますので、注意が必要です。法人の方は前期、個人事業主の方は令和4年の課税売上高を一度確認するようにしましょう。
原則課税と2割特例の有利な方を選択できる
2割特例の適用をしている事業者は、申告の際に原則課税と2割特例の有利な方を選択できます。そのため、設備投資などで支払いが多額になった場合、原則課税を適用した方が納税額が少なくなったり、還付になったりする場合がございますので、しっかりと有利選択をするようにしましょう。