確定申告も終盤となり、すでに申告を済まされた方も多いかと思います。令和5年からインボイス制度が開始され、初めて消費税申告をされた方も多いのではないでしょうか。今回は令和5年で2割特例を使って申告された方について、令和6年も2割特例を適用できるかどうかについて書いていきます。時間が空いてしまうと思い出すのに時間がかかりますので、令和5年の申告が終わった直後に確認されておくといいかと思います。
2割特例って?
2割特例とは消費税の計算方法の一つで、消費税の納税額を売上で預かった消費税額の2割とすることができるという特例制度です。インボイス制度が開始されたことで、免税事業者からインボイス事業者となった方が対象です。この2割特例は、令和5年から令和8年の申告までの適用が可能となっています。詳しくは、以前のブログでも書いておりますので、よろしければ下記をご参照ください。
・2割特例とは【インボイス】2割特例とは – 中村大祐税理士事務所 公式HP (tax-daisuke-nakamura.com)
・2割特例の計算【インボイス】2割特例の計算 – 中村大祐税理士事務所 公式HP (tax-daisuke-nakamura.com)
令和6年での2割特例について
令和5年で2割特例を使って申告された方は、令和6年も2割特例を使えるかどうかを確認しておきましょう。具体的には、
・令和4年の売上高が1,000万円以下かどうか
です。申告する年(令和6年)の2年前の売上高(令和4年)が1,000万円以下である場合は、令和6年も引き続き2割特例を使って計算することが出来ます。逆に1,000万円を超えているようであれば、2割特例を使って計算することが出来ません。以下の図表は、国税庁から引用してきたもので、具体例を示しながら説明していきます。
(出典:国税庁HP 0023007-071.pdf (nta.go.jp))
上段の①の具体例では、令和5年は令和3年の売上高が900万円と1,000万円以下となっていますので2割特例を使えましたが、令和6年は令和4年の売上高が1,100万円と1,000万円を超えていますので、2割特例を使うことが出来ません。また、令和7年は令和5年の売上高が800万円と1,000万円以下となっていますので、2割特例を使うことが出来ます。
下段の②の具体例では、令和5年は令和3年の売上高が1,100万円と1,000万円を超えており2割特例は使えませんでしたが、令和6年については、令和4年の売上高が800万円と1,000万円以下となりますので、2割特例を使って計算することが出来ます。
令和6年に2割特例を適用できない場合
令和5年において2割特例を適用できたが、令和4年の売上高が1,000万円を超えているため、令和6年に2割特例を適用できない場合の計算方法はどうなるのでしょうか。
結論からいうと、原則課税か簡易課税の有利な方を試算してみて、簡易課税の方が納税額が少なくなりそうでしたら、令和6年の12/31までに簡易課税制度の選択届出書を所轄税務署に提出することで、令和6年から簡易課税を使って計算することが出来ます。提出期限ですが、申告期限である翌年3/31までではないことに注意が必要です。原則課税と簡易課税の計算方法については、以前にブログでも記載しておりますので、よろしければご参照ください。(インボイス制度前に知りたい消費税の基礎知識~消費税の計算方法~ – 中村大祐税理士事務所 公式HP (tax-daisuke-nakamura.com)
おわりに
消費税は計算方法によって納税額が大きく異なってきます。また届出書関係も事前提出が多く、取り返しがつかない場合もございますので、しっかりと確認と試算をしたうえで対応するようにしましょう。